PLAY VIDEO stone meditation 映像|2014 木村 達人 愛知県立芸術大学大学院 作家についてのお問合せ 審査員コメント Strata-cutは、金太郎飴のように粘土などをスライス、コマ撮りする事でアニメーションを制作する技法だ。この作品で作者は、「河原に転がっている石ころ」や、「ビルディングの壁面に用いられる石材」などの普段日常で見かける石にその技法を適用して作品を制作した。つまり、その石が生み出されるまでにかかったであろう途轍も無い長さの時間がそこに圧縮されていて、それがグライダーでスライスされてアニメーションの1コマ1コマになっているのだ。一見すると地味に見える映像だが、画面のすべての領域が次々と変化して行く事に気づくと、その全てを視覚的に捉えきれないほどの情報量がある事に気づく。ゆえにwebにアップロードされたファイルでは圧縮ノイズが目立ってしまっているのが残念でもあるし、興味深い点でもある。そして、この作品を体験した後になっては、河原や道ばたに転がる石の1つ1つにこうした映像が記録、保存されているのだという事に気づかされ、その情報量に目眩がしてくる。 谷口 暁彦 作家 今年は石にまつわる作品がたくさんあって、昔好きだったアニー・ディラードの『石に話すことを教える』という本を再び本棚から取り出すことになった。そこに書かれているのは、世界は基本的に人間の尺度を超えているので、人間ができるのは、ただその世界の沈黙を目撃することしかできない、ということである。ここ数年は、そういった尺度のタイムスケールが突如としてみなの(無)意識にのぼった時代なんじゃないかと思う。この作品は、さまざまなかたちで気づかれたその大きな時間軸の静謐と沈黙を、削りだすことによって目撃するようなものに見えた。少なくとも僕自身はこの「沈黙」をそんなふうに聞き取った。空耳かもしれないけれども。 土居 伸彰 アニメーション研究・評論 学生が作ったとは思えない程大規模でいくつもの作品を組み合わせた完成度の高いメディアアート作品。ミストプロジェクションやスマートフォンを利用したアプリコンテンツ等多くの作品がそれぞれしっかりとしたテーマを持ち完成も高い。また、ハードウェアの確保の為の活動にも力が入っていて、企業や市町村との協賛や優秀なプロデュース力もまた学生の域を超えており高く評価したい。 谷口 充大 ディレクター/テトラ 2023 アート&ニューメディア部門 映像&アニメーション部門 ゲーム&インタラクション部門 パートナー賞 2022 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ表彰 2021 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ表彰 2020 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2019 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2018 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2017 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2016 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2015 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2014 受賞作品
Strata-cutは、金太郎飴のように粘土などをスライス、コマ撮りする事でアニメーションを制作する技法だ。この作品で作者は、「河原に転がっている石ころ」や、「ビルディングの壁面に用いられる石材」などの普段日常で見かける石にその技法を適用して作品を制作した。つまり、その石が生み出されるまでにかかったであろう途轍も無い長さの時間がそこに圧縮されていて、それがグライダーでスライスされてアニメーションの1コマ1コマになっているのだ。一見すると地味に見える映像だが、画面のすべての領域が次々と変化して行く事に気づくと、その全てを視覚的に捉えきれないほどの情報量がある事に気づく。ゆえにwebにアップロードされたファイルでは圧縮ノイズが目立ってしまっているのが残念でもあるし、興味深い点でもある。そして、この作品を体験した後になっては、河原や道ばたに転がる石の1つ1つにこうした映像が記録、保存されているのだという事に気づかされ、その情報量に目眩がしてくる。
今年は石にまつわる作品がたくさんあって、昔好きだったアニー・ディラードの『石に話すことを教える』という本を再び本棚から取り出すことになった。そこに書かれているのは、世界は基本的に人間の尺度を超えているので、人間ができるのは、ただその世界の沈黙を目撃することしかできない、ということである。ここ数年は、そういった尺度のタイムスケールが突如としてみなの(無)意識にのぼった時代なんじゃないかと思う。この作品は、さまざまなかたちで気づかれたその大きな時間軸の静謐と沈黙を、削りだすことによって目撃するようなものに見えた。少なくとも僕自身はこの「沈黙」をそんなふうに聞き取った。空耳かもしれないけれども。
学生が作ったとは思えない程大規模でいくつもの作品を組み合わせた完成度の高いメディアアート作品。ミストプロジェクションやスマートフォンを利用したアプリコンテンツ等多くの作品がそれぞれしっかりとしたテーマを持ち完成も高い。また、ハードウェアの確保の為の活動にも力が入っていて、企業や市町村との協賛や優秀なプロデュース力もまた学生の域を超えており高く評価したい。