a Piece of
インタラクティブアート|2015
「人は誰しも掌に個人の土地を所有している」という観点から本作品を制作した。掌を観察すると、そこに刻まれた皺は河川や峡谷に見え、身体を巡る血液とは異なった「第2の流れ」が現れている。本作品は鑑賞者の掌紋(手相)に類似した土地をコンピュータが世界地図から検索してスクリーンに投影する事で、掌から世界の広がりを感じる作品である。また、無味乾燥な掌を「地形」という異なる視点から見る事で、自身の肉体を深く見つめる機会を与える事を意図して制作した。年齢を重ねるにつれて皺が増える人間の掌は、時を重ねて刻々と表情を変える大地の表層と共通する部分がある。本作品のタイトル”a Piece of”は掌が世界地図の一部”a Piece of the World”であるという作品のコンセプトに由来している。
自分の手相を地図に見立てるというアイディア、自分は世界の一部というコンセプトが光る作品でした。地図上に自分の手相と良く似た地域が表示される様は、本作品のタイトル「a Piece of」でも表現されているような自分が世界の一部である事を認識するに十分な驚きを与えてくれると思います。地球儀をモチーフとしたインターフェイス等も、真正面から打ち出したコンセプトを貫いている表現であり、見ていて気持ちのよい作品でした。
人の体に刻まれた数多くの模様は、時に自然の景観や自然が生み出した文様と重なりあい、人もまた自然の一部である事を再認識させられる。また、地図という文様もまた人が自然から生み出した模様の一つであり、それを照合する行為にどこか人の歴史や自然の生い立ちのような物を感じる事が出来る。