DOODLES No.1-11
アニメーション|2015
書き溜まったノートの落書きをアニメーションさせた作品。 私は普段、論理性と即興性の間を揺れながら制作をしているが、今回はとにかく即興性に寄った制作がしたいと考えた。その際、ノートの落書きという、ある種の即興性がある題材が適しているのではないか、と考えテーマに据えた。今回は初めて4Kサイズで作ったこともあり、解像度への意識も芽生えた。解像度をよくしようという方向ではなく、逆に超低解像度の映像をいれる実験も行った。落書きを入り口として作る中で、本作のキーワードとして「ノイズ」という言葉が浮かんだ。らくがきそのものは日常行為から生まれるノイズだし、解像度の低さからおこる画像の荒れもノイズだと言える。普段の自分ならはじくような、取り除かれるべきと思いこんでいるもの(=ノイズ)に、表現的な余地がないかを模索しながら制作に当たった。
この作品の佇まいはとても不思議である。アニメの記憶のなかで生きるスタン・ブラッケージ――そんなパラレルワールド的な存在によって作られた作品を観ている気になってくる。この作者がブラッケージを意識しているのか、そもそも知っているかどうかは分からないけれども、自らの網膜に焼き付いてしまい、目をつぶったとしても決して離れてくれないイメージに忠実であろうとする行為において、両者は共通する。この作品は、その方法論がまったく古びること無く、今でもじゅうぶんに強度を持ちうることの証明でもある。