PLAY VIDEO ミッドナイトギャラリー アニメーション|2015 森山 瑠潮 勝間田 容督, 土屋 陽平, 田中 優士 武蔵野美術大学 ENTERTAINMENT DIVISION GOLD 現代的な要素をクラシックなスタイルにおとしこむことによる面白さを追求したポストデジタルカートゥーン作品です。 作家についてのお問合せ 審査員コメント 『トムとジェリー』の短編の間に入っていた“真ん中作品”を思わせる、遊び心があふれた時代のアニメーションのエミュレートという印象です。様々な技巧が飽きることなく演出に活かされ、なおかつ現代ならではの、例えばネット回線の読み込み待ちなどを演出に盛り込んでいたのが上手い!と思わせる要因でした。ただ、とにかくキャラクターのアニメーションが惜しい!合理的に枚数を節約したい時代を再現するのであれば、キーフレームも中割りももっと洗練していけるはずでしたし、カット割りも昔であれば省かれたであろう物がまだ残されていた。何十年も前のアニメーションをよく研究されたなと思います。ここで得た発見を活かした次回作に期待します。 水崎 淳平 アニメーションディレクター/神風動画 一見往年のカートゥーン作品かと思いきや、現代的なモチーフや斬新な映像手法が新しい表現の可能性を感じさせる作品となっている。そこにはしっかりと技術の伴ったクラシカルな基礎的なアニメーションの高いクオリティがあり、だからこそその新しい演出や表現が一層魅力的なものになっている。 谷口 充大 ディレクター/テトラ キャラクターの動きは完成度が高く、音を出すタイミングと動き出しのタイミングの連動感が、違和感を与えないスムーズなアニメーションを演出している。往年のディズニーカートゥーンを感じさせた。一番評価したいところは、PCやスマホ、3Dプリンタ、youtubeなど現代的なモチーフをクラシカルな映像手法に入れ込んで、現代人がとっつき易いアニメーションに昇華させているところ。全体に完成度が高いだけあって、ちょっとした細部の作り込みが気になってしまったが、それだけ完成度が高いということだと思う。 柳 太漢 インタラクティブディレクター/博報堂アイ・スタジオ 一体なぜ20代前半の若者たちが懸命になって古き良きアメリカン・カートゥーンの「完コピ」(アレンジ付き)を目指すのだろう?そのあまりの接点の無さにクラクラし、その謎に唖然とするなかで、人種差別表現さえも「完コピ」されていることを見逃してしまったりもする。自分たちにできることを精一杯やるのだという真摯な熱量と、それが生み出してしまう不適切さのバランスが、危うい強度を生み出している。ある意味で最強の「学生作品」。 土居 伸彰 アニメーション研究・評論 前作「マッキーとユッキーのコックローチ・パニック」で展開した1920年代の古典的アニメーションを現代的な観点から再構成するという手法をさらに推し進めている。とくに頻繁に登場するコンピューターやブラウザー、さらには動画共有サービスなどの現代的なメディアテクノロジーを活かした小道具(的仕掛け)や、板野サーカスを髣髴とさせる立体感のある弾幕の演出を、古典的なアニメーションの質感と融合させようとする様は、ほとんど偏執的とも言って良いレベルで、この作者たちはアニメーションの技術だけが発達していない別の世界線から何かの弾みでやって来たのではないかと邪推してしまうほどだ。と同時にこうした取り組みが、作品にメディア史やアニメーション史に対する批評的試みとしての説得力を新たに与えつつあるようにも思え、「この人たち、このまま突き進んだら、どうなっちゃうんだろう」という妙な高揚感と期待感を感じさせる。 渡邉 朋也 作家 2023 アート&ニューメディア部門 映像&アニメーション部門 ゲーム&インタラクション部門 パートナー賞 2022 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ表彰 2021 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ表彰 2020 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2019 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2018 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2017 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2016 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2015 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2014 受賞作品
『トムとジェリー』の短編の間に入っていた“真ん中作品”を思わせる、遊び心があふれた時代のアニメーションのエミュレートという印象です。様々な技巧が飽きることなく演出に活かされ、なおかつ現代ならではの、例えばネット回線の読み込み待ちなどを演出に盛り込んでいたのが上手い!と思わせる要因でした。ただ、とにかくキャラクターのアニメーションが惜しい!合理的に枚数を節約したい時代を再現するのであれば、キーフレームも中割りももっと洗練していけるはずでしたし、カット割りも昔であれば省かれたであろう物がまだ残されていた。何十年も前のアニメーションをよく研究されたなと思います。ここで得た発見を活かした次回作に期待します。
一見往年のカートゥーン作品かと思いきや、現代的なモチーフや斬新な映像手法が新しい表現の可能性を感じさせる作品となっている。そこにはしっかりと技術の伴ったクラシカルな基礎的なアニメーションの高いクオリティがあり、だからこそその新しい演出や表現が一層魅力的なものになっている。
キャラクターの動きは完成度が高く、音を出すタイミングと動き出しのタイミングの連動感が、違和感を与えないスムーズなアニメーションを演出している。往年のディズニーカートゥーンを感じさせた。一番評価したいところは、PCやスマホ、3Dプリンタ、youtubeなど現代的なモチーフをクラシカルな映像手法に入れ込んで、現代人がとっつき易いアニメーションに昇華させているところ。全体に完成度が高いだけあって、ちょっとした細部の作り込みが気になってしまったが、それだけ完成度が高いということだと思う。
一体なぜ20代前半の若者たちが懸命になって古き良きアメリカン・カートゥーンの「完コピ」(アレンジ付き)を目指すのだろう?そのあまりの接点の無さにクラクラし、その謎に唖然とするなかで、人種差別表現さえも「完コピ」されていることを見逃してしまったりもする。自分たちにできることを精一杯やるのだという真摯な熱量と、それが生み出してしまう不適切さのバランスが、危うい強度を生み出している。ある意味で最強の「学生作品」。
前作「マッキーとユッキーのコックローチ・パニック」で展開した1920年代の古典的アニメーションを現代的な観点から再構成するという手法をさらに推し進めている。とくに頻繁に登場するコンピューターやブラウザー、さらには動画共有サービスなどの現代的なメディアテクノロジーを活かした小道具(的仕掛け)や、板野サーカスを髣髴とさせる立体感のある弾幕の演出を、古典的なアニメーションの質感と融合させようとする様は、ほとんど偏執的とも言って良いレベルで、この作者たちはアニメーションの技術だけが発達していない別の世界線から何かの弾みでやって来たのではないかと邪推してしまうほどだ。と同時にこうした取り組みが、作品にメディア史やアニメーション史に対する批評的試みとしての説得力を新たに与えつつあるようにも思え、「この人たち、このまま突き進んだら、どうなっちゃうんだろう」という妙な高揚感と期待感を感じさせる。