まゆみ アニメーション|2016 谷口 ちなみ 東京藝術大学大学院 ART DIVISION GOLD 作家についてのお問合せ 審査員コメント 私は、いつから自分の名前を自覚しただろうか?物心がつく前から、両親に繰り返し呼ばれ続けることによって、名前を自分のものだと認識するようになっていったのだろう。辞書的な「固有の名称」という意味だけではなく、名前には名付けた人の想いが込められている。繰り返し呼び続けて名前を根付かせることは、呪術的であり、そういう行為によって人は自分の名前を自覚していく。そして、その想いと共に人は一生を送っていく。 水江 未来 アニメーション作家 以前の作品で描かれる少女たちの世界は、イラスト的な平面世界に展開され、煌めきを放っていた。しかし、アニメーションらしい奥行きを獲得した今回の作品が感じさせるのは、少女が少女の世界に棲まうことの圧倒的な閉鎖感だ。「まゆみ」という声がその空間に投入されるたび、閉じ込められたその世界で声は永続的にエコーし、反復し、さらにその閉鎖性を高めていく。この出口のなさが、まるで怪物の誕生を見るかのような恐ろしさを感じさせる。 土居 伸彰 アニメーション研究・評論 2023 アート&ニューメディア部門 映像&アニメーション部門 ゲーム&インタラクション部門 パートナー賞 2022 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ表彰 2021 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ表彰 2020 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2019 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2018 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2017 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2016 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2015 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2014 受賞作品
私は、いつから自分の名前を自覚しただろうか?物心がつく前から、両親に繰り返し呼ばれ続けることによって、名前を自分のものだと認識するようになっていったのだろう。辞書的な「固有の名称」という意味だけではなく、名前には名付けた人の想いが込められている。繰り返し呼び続けて名前を根付かせることは、呪術的であり、そういう行為によって人は自分の名前を自覚していく。そして、その想いと共に人は一生を送っていく。
以前の作品で描かれる少女たちの世界は、イラスト的な平面世界に展開され、煌めきを放っていた。しかし、アニメーションらしい奥行きを獲得した今回の作品が感じさせるのは、少女が少女の世界に棲まうことの圧倒的な閉鎖感だ。「まゆみ」という声がその空間に投入されるたび、閉じ込められたその世界で声は永続的にエコーし、反復し、さらにその閉鎖性を高めていく。この出口のなさが、まるで怪物の誕生を見るかのような恐ろしさを感じさせる。