田中賢吾
橋爪 智, 小池 栄美, 大嶋 泰介, 落合 陽一
筑波大学
最近では、タブレット端末などが広く普及し、タブレットの画面を操作するためにタッチペンを使用しているユーザーが増加している。特にデジタルな絵や文字を描く際にはタッチペンが必要であるものの、従来のタッチペンではタブレット画面に接触した時の硬い感触しか感じることができない。書き心地は、ペンを使うユーザーにとって大切なものである。本作品は、バネの構造をペンに組み込むことで、ペンに弾力をもたせ、筆のような感触のタッチペンを作成した。3DCADソフト上で、バネの断面の大きさを変化させることで柔らかさを調節する。デジタルファブリケーションの技術は、誰でも簡単に各個人にあったものを作ることができることが利点である。作り方やデータを共有することで、3Dプリンターがあれば、誰でも実際に短時間かつ低コストで作ることができ、あらゆる地域で多くの人が自分に合った柔らかいタッチペンを使用することが可能となる。
3Dプリンタはもはや一般的とまではいかないまでも、その話題性は落ち着いた感がある。そのような中、3Dプリンタを単なる造形のためのみならず、別の用途に利用する試みが出てきている。硬さもその1つだ。そのような中、本作は硬さという触覚情報をペンに限定し付加させることで、材質特性としての硬さから、描き心地という人間の快に寄り添う感覚に変換させる、優れたデザインである。