Astral Body
インタラクティブアート|2018
油井 俊哉
長沼大樹, 原田誠史, 福澤貴之, 福谷和芳, 堀修生, 山本景子
早稲田大学
人は何に対して生命性を感じているのか。目に見える生き物の姿や形に対してだろうか。何もいないのに何かの気配を感じ、そこに生命の存在を意識した経験はないだろうか。もしかすると生命性の本質とは、身体ではなくそこに宿る「気配」そのものなのかもしれない。そこで本作では、生命性の本質はどこにあるのかを探るべく生き物の「身体」と「気配」とを一つの空間で対比させることにした。
本作では神智学で感情を司るとされるアストラル体(情緒体)を気配の正体として仮定した。作中で表現しているのは、アストラル体が身体を脱ぎ捨てて活動している様子である。これは甲殻類が脱皮を経て変態していく様に着想を得たもので、作中で身体性を象徴するモチーフにも甲殻類の骸を用いている。
人工生命体の実現にあと1つ足りないとされる「ブルックスのジュース」。本作ではその最後の1つを探求し導き出した「気配」を無機物に加えることで、そこに生命性が現れるかを試みる。動かなくなった生き物の身体と、生き物のように動く無機物、私達はどちらに生命性を感じるだろうか。
撒かれている砂が徐々に形を変化させていく不思議さが、魅力になっている作品でした。アニメ的なモグラの移動を連想します。砂の動きを作っているのは機械とのことですが、一旦アナログな自然物を挟むと不思議とどこか生命のようなものを感じられ、企画意図やコンセプトの狙いにしっかりと引っかかってしまいました。こういった展示物が街の中などに有れば不思議と見入ってしまうのでは無いでしょうか。