現実、幻想。私たちが存在する、または想像し得る世界の中には様々なバグが存在している。それは差別や犯罪など、姿形を変えて世界にこびりついている。それはなぜ存在するのか、どこからやってくるのか。外部から一方的に植えつけられるものなのか。観測者の存在がバグを生むのか、もしくは個人の中から湧いて出てくるものなのか。近年、それは荘厳な相撲界にさえも発生しているようにみえる。心身共に鍛えられた筈の彼らでさえもその問題に悩まされている。どうやらバグは弱い人間にのみを取り巻く存在ではなさそうだ。今作では、重厚で力強い存在である力士をモチーフに、彼らとは対照的に繊細なバグの存在を描く。
ファーストインパクト。何が良いか僕自身、明確に言語化できてきないが、印象に残り最後まで残してしまった。なぜ、力士?このエフェクトはなに?タイトルは何を意味する?シリアスのようで随所に見られる突っ込みどころが解釈を揺さぶる。しかし、そこには何か力強さのようなものがある。その「不思議なパワー」が本作の魅力なのかもしれない。