ENTERTAINMENT DIVISION BRONZE
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すべての人がやがて迎える死のその先を空想し、映像化した短編アニメーション。
とある老人の魂が、先立った愛犬と謎の宇宙飛行士に導かれて最後の旅に出る。老人は内なる宇宙に漂い、旅の終着点に待つかけがえのない存在に再び会うために、記憶の海を泳ぐ。
アニメーションの持つ「空想」を描く力を借りたのは、誰も見たことのない死後の世界を描くことが、旅立つものを勇気付けることであり、愛するものへの祈りであると考えたからだ。家族の死、見知らぬ誰かの死、飼っていたハムスターの死。幼い頃に感じた「死ぬこと」への漠然とした不安と恐怖を、大人になった自分自身によって癒したい。まだ見ぬ世界に怯えるよりも、惜しむべき別れの後にもまた希望を見出して、その時を待ちたい。そういった気持ちが、この作品の原動力となっている。
ストーリーはありがちでスグ読めちゃうのですが、
アニメーションとして非常に良く演出できていると思います。
(おそらくアニメーション演出テクを短尺内に盛り込むために、あえてシンプルなストーリーをチョイスされたんだと推測)
少ない線ながら、奥行きを感じさせる画面レイアウト。
うまい間の取り方、アニメーションの動きも達者です。
浮遊感&やわらかい表現、風のスピード感や、緩急あるテンポ感もうまい。
音楽、音響も良いですね。
ちゃんとエモーショナルな作品に仕上がってると思います。
「全編iPad Proを使用して制作」とのこと!。これも高く評価したいポイントです。
お年寄りをテーマにしたものは好きなのですが、こちらの作品は個人的な好み抜きでもしっかりと評価できるものでした。
それぞれのシーンが程よい尺で構成されていて、最後まで淀みなく見ていることが出来る気持ちの良い内容になっています。
アニメーションもうまいですね。滑らかだし印象的な部分が目残りするように描かれています。
おじいちゃんの人生の追体験、素晴らしかった。これからの制作活動が楽しみ。
作画の力にまずは驚かされました。モノクロのグラフィックは美しく、終盤に登場する桜のピンク色や地球の青色の鮮やかさとの対比により、亡くなった主人公の孤独や不安を際立たせることに成功していると思います。
誰も知ることの出来ない「死の先」を宇宙と設定し、死の使いに宇宙服を着せるなどの発想は斬新で面白かったです。カメラ、公衆電話、洋服、電車、冷蔵庫、カレンダー、茶碗、戦闘機、など、ありとあらゆるもの(おそらくは主人公にとって思い入れのある物)が宇宙空間に現れ、所謂「走馬灯」のように駆け抜けていくシーンは迫力があり、この作品の見せ場として上手く機能していました。
ただ、絵や動きなど、カット単位の魅力に比べると、作品全体で見たときの構成、物語に物足りなさを感じてしまいました。今後のご活躍を楽しみにしています。