Black Rabbit in a Coffee cup

かわいらしいアートワーク、質感、ライティング、どれも心地よい世界観の中でよくまとめられている。カメラやレイアウトも安定していて、ストーリーもわかりやすく、短い尺の中でしっかりとオチがつけられているところにも感心した。このストーリーやキャラクターの設定に説得力を持たせるためには、液体表現が不可欠なのだが、少々難易度の高い表現にもかかわらず、臆せず十分なクオリティを出すことができている。そういった作業の丁寧さもさることながら、特にこの作品においてはキャラクターアニメーションがキーになっており、キャラクター達が感情豊かによく動き、この作品のおもしろさを支えている。完成イメージを強く持っていたからだと推測するが、ことさら技術や物量などで背伸びをせず、持てる技術とリソースを最大限に生かすことで、全てのパートの完成度を高めることができたのではないかという印象を持った。作品として強烈なインパクトがあるわけではないが、職人的に丁寧に作られていることに好感を持った。