ENTERTAINMENT DIVISION GOLD
誰しも夢を抱き、時に破れ打ちひしがれ、どう生きていけばいいか分からなくなる。覚めない夢がないように人生は自分の思うようにばかりいくわけではなく時として抱えきれないほどの苦しみや悲しみに覆われる時もある。そんな中で忘れてしまいそうになるけれども、今まで自分が夢のためにしてきたこと、自分の人生を突き動かしてくれた何か、自分がしたことが誰かを笑顔に、幸せにしてきたことは確かにある。例え覚めてしまった夢のように、もうはっきりと思い出せなくとも確かにあった、否、未だ自分の中に確かに存在する”何か”に思いを馳せてみる、そんなテーマで描いた作品です。
夢を失いかけている少女がもう一度立ち直ろうとする、王道的なアニメーション作品ですが、クオリティが非常に高かったです。ストーリー構成、キャラクターデザイン、背景、エフェクト、BGMやSEのタイミング、声の演技も良かった。
10分もの長い尺に対してこれだけの手数を学生の段階で仕上げきる力量には素直に驚きました。
今後もこだわりを強く持った良いアニメーション作品を作っていってほしいです。
「アート部門」の観点からは評価の難しい作品だが、優れたエンターテインメントとして完成しており、今後商業アニメーションの分野で、岡田さんの名前を多く聞くことになるのだろう。
「コンペティションの意味」をつい考えこんでしまった作品でもある。こういった自分でファンや仕事を獲得できる、天才型の作家(失礼な表現になっていないと良いが)はそもそもコンテストによるお墨付きを得る意味があるのか?とも内省しつつ、しかし受賞は必然だったと思うし、これをステップにより社会に発見され、日本を代表するアニメーション作家になっていくのを楽しみにしている。
とにかく圧倒的な画面のクオリティの高さに目を見張る。
デジタルツールの駆使の上に成立する表現の蓄積に現代型のアニメーションだなと感じることができる。
完成度が高いが故の欲になってしまうのだけれど、エフェクト表現や展開の中に観客を飽きさせない工夫があるとより良いのかも。
そんな事を言わせてしまうくらい丁寧に仕事を積み重ねられた作品、次回作も楽しみにしています。