0番目の私へ

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アニメーション|2019

増田 優太

名古屋学芸大学

僕が生まれる前に亡くなった叔母の存在と、「僕」との関係を描いた。映像メディアの「フレーム」という特性をテーマにおき、深度、もしくは表裏のあるメディア感覚について表現した。

審査員コメント

  • 「あなたとよく似ている」「生まれ変わりなんじゃないか」「生きていたらきっと可愛がってもらえた」母親から聞かされてきた、作者が生まれる前に若くして亡くなった叔母の存在。作品は、その叔母らしき人物の遺影が飾られている仏壇を映すところから始まる。

    仏壇は実写ではなく、実写を元に3DCGで再構築された歪なもので、遺影は画質が悪く顔までは判別できない。女性キャラクターが自由奔放に動きまわるドローイングアニメーションを経て、再び仏壇のシーンに戻ると、遺影には女性キャラクターが収まり、仏壇は歪みのない実写に変わっている。

    直接会ったことがなく、もう存在もしておらず、人から聞かされた「物語」と、遺影というフレームの中の「画像」によってのみ生まれた叔母への愛情を、「キャラクター」に対するそれと重ねた着眼点は見事で、誰かに語りかけるようでもあり、独り言のようでもある、静かなナレーションも魅力的だった。

    大山 慶 プロデューサー/株式会社カーフ代表取締役