外に出ない日は、家でスマホをいじったりテレビを観たりするのが楽しい。ツイッターやインスタグラムのタイムラインでランダムに流れるたくさんのつぶやきや画像、映像。YouTubeを観ていて突然入ってくる広告。時にはテレビを観ながらスマホでは違う映像を観ていたりする。そういった断片的な情報たちを目にすることも日常の一部になっていると感じる。この作品は、そのように自分の意識がたくさんの情報を行き来していく中で、今いる現実世界も画面の向こうの映像に思えた経験を元に制作した。
本作はコロナ禍に入るちょうど一年前に完成した作品であり、上の文章も当時作成した。作者自身もまさか多くの人に”外に出ない日”が訪れるとは思いもせず、本作にタイムリーな意味合いが加わったことに驚いている。
ポップでかわいらしいキャラクターで描かれる、シュールな世界のアニメーション。現実と作られた虚構が表裏一体の世界、いきなり始まり終わる短い動画や脈絡なく挿入されるCMなど、従来の映画館やテレビ放送とは異なる映像文化であるSNSやYouTubeなどに親しんでいる、新しい世代の映像感覚が感じられた。今後の作品にも是非期待したい。