枇杷のなる山
手描きアニメーション|2021
辻 敬太
武蔵野美術大学

ENTERTAINMENT DIVISION GOLD
作者Webサイト https://twitter.com/KeitaTsuji9011
祖父を亡くし、かつて暮らした故郷に帰ってきた女子大学生と、生まれてからずっとその土地を見つめてきた男子高校生。2人が共に過ごしたある日の風景を描いた、手描きアニメーション作品。
手描きアニメーション|2021
辻 敬太
武蔵野美術大学
ENTERTAINMENT DIVISION GOLD
作者Webサイト https://twitter.com/KeitaTsuji9011
作者の原風景を動くアルバムにしたかのような。どのカットも丁寧な一枚画として成立している巧さ。若い学生の絵とは思えない老成と達者っぷりに驚きました。1本の動画作品にするより、ギャラリーに展示してじっくり鑑賞するほうが向いているかもですね。ほぼ、「絵とじっくり向かい合う」鑑賞態度を求められる作品なので、全体的に進行テンポがおそくて眠くなっちゃうのが難点であり、それは仕方ないかもなのですが。15:04~のカットではじめてダイナミックな移動が感じられたのは良かったです。
風景や人物の描写が優れており、場の空気感や人の空気感がよく伝わってくる作品でした。特に田舎町を歩き回る際の各場面の空気感がリアルで、自分がそこに帰省したかのような感覚を得ることができました。親戚の葬儀で久々に地元に帰ってきた近所のお姉さんと、地元で暮らす大人しめの男の子が再会し、ゆるく微妙な距離感のまま、ほぼ無言で田舎を歩きまわり、夕立、夕暮れから薄暗い山間部へと場面が展開しつつも、二人の男女がドラマチックな展開や心の揺れうごく展開に「ならない」淡々とした様子も独特な味わいがあったように思います。