約500個のLEDとその光を導くアクリルパイプを三次元的に構成し、抽象的な像を空間に出現させる。鑑賞者の動きや環境音を感知し、その光は脈を打つように揺れる。造形の原風景は、作者の出身地:群馬県高崎市に立つ巨大な観音像である。
パンデミックにより分たれた我々は、テクノロジーを介して対話することを余儀なくされた。しかしそれは同時に肉体の輪郭を揺らがせ、アップデートされない不健康な記憶を増幅させていく。生物としてのなま臭さを忌避した先で、電気信号の狭間で標となるための像を立てる。
暗闇に立つ像は、特異な時代でもなお姿を保ち続ける観音でもあり、肉体とテクノロジーの間で変質する我々の肖像でもある。
それにしても、これは既存の応募ジャンルやフォーミュラになかなか収めにくい作品かもしれませんね。私はそういう作品こそ、学生CGコンテストで評価すべきだと使命感を感じちゃいました。
オブジェの大きさ、展示する空間のサイズにちゃんと計算とこだわりがある。遠目にはアクリルパイプに見えないリッチな造形、ゴールドっぽい色味も厳かでナイスです。観音像から着想を得たというコンセプトも、マスに解り易くてアリだと思います。もっと大きなスケール=100メートルぐらいのサイズで、いつか実現させたくなりますね。
果たして作品名がコレでよかったどうか?は、悩ましいところでしょうか。(でも、わかる気もします。あんまりスノッブなタイトルつけると、それに鑑賞者の思考が限定されちゃいますから。)
なんかしっくりくる作品名が思いつけると良いですね!