Drifter
映像作品|2022
佐藤 瞭太郎
東京藝術大学大学院
ART DIVISION BRONZE
作者Webサイト https://ryotarosato.myportfolio.com/
世界を循環する水と身体の接触面である「浴室」を起点に、漂流するものたちの行方を描く映像作品。発達したインフラによって、日々たくさんのデータが流通し、私たちの中を通過する。その流れの中から自由に使える「Asset アセット」と呼ばれるデータを拾いあげ、映像に収めていった。この映像もまた流れの一つとなり、空間と時間、そして見る者の中を通り過ぎていく。大量のアセットたちをキャッチアンドリリースし、流通を擬似的に作り出すことで、今日における私たちの漂流を予行演習する。
審査員コメント
ゲーム、マンガ、映画といった、ひとつの世界観を提示するような創作物でさえ、いまや様々な企業や個人によって制作されたバラバラなアセットの組み合わせによって生み出されている。これらの創作物では、一般的にアセットの選択は、作品の世界観を壊さないよう、デフォルメの度合いやディテールに大きな差がないように行われるが、この作品では、ウェブ上から無作為に選び出されたように思われる3Dアセットが混在され、互いが異化されることで、そのコラージュ的な性質があらわになっている。それによって、この作品は、デジタル環境における創作物が、情報のフローによる漂着物の寄せ集めによって生まれているのだということを隠喩的に示すのである。