Lag

Lag

映像インスタレーション|2022

森田 明日香

秋田公立美術大学

アート部門 BRONZE

ART DIVISION BRONZE

作品Webサイトhttps://www.moritaasuka.com/lag

作者Webサイト https://www.moritaasuka.com/

量産されたモノ同士の微細なズレを“輪郭の裕度”と定義し、新しい意味を与える映像技法の研究をおこなっている。例えば、ウインナーは生産工程の中で食肉を画一化し、流通しやすい状態でスーパーに並んでいる。人工ケーシングされたウインナーは、同一環境下で熱すると、ほぼ同じ時間に破裂し、似た破裂音を鳴らす。しかし、あくまで個体差があり、音色もタイミングも全く同じものは存在しない。 本作品は、破裂音のズレを“輪郭の裕度”とし、電子レンジを用いて数百本のウインナーの声を聴く映像音響作品である。モニターのアルファベットは、破裂音を音声認識し、文字に翻訳している。ウインナーの微かな個体差から言語リズムを抽出し、あるはずのない意識を浮かび上がらせる試みである。

審査員コメント

  • 新しい技術が私たちの目の前に立ち現れた時、いかに豊かな視点をもたらすことができるかは、アートとして重要な役割のひとつである。この作品はひっくりかえして広げたようなその豊かな視点に加えて、音声学とユーモラスな世界を身軽に行き来できる感覚も持ち合わせている。こういった世界の繋げ方ができるのはひとつの才能である。AIや機械学習における表現はこれからも多くのものが表出してくるだろう。その中でこの作品で作り上げた掛け合わせる特異点や感覚を忘れずに作品を作り続けてほしい。

    滝戸 ドリタ アーティスト/ディレクター/デザイナー