Gate

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現代アート|2023

鈴木 創大

東京藝術大学大学院

アート&ニューメディア部門 優秀賞

ART & NEW MEDIA DIVISION EXCELLENCE AWARD

横浜港には、世界中から物資がコンテナに積まれ輸入されている。 本牧埠頭にあるコンテナの背扉の写真を撮影し、その情報からコンテナの所有地域をつきとめた。 コンテナの背扉のイメージがプロジェクションされている部屋では、それぞれのコンテナの所有地域のリアルタイムのラジオやライブカメラの映像が流れている。私たちの生活に実感のないまま、深く関わっている同時代の場所性について思考する。 グローバリゼーションはコンテナという世界基準となった箱の規格が支えるロジスティクスにより成り立っている。 これらの箱は一見、無機質な鉄の箱でしかないが、それらが関わり運ばれている場所には固有の言語や文化が存在している。場所性を均一化するコンテナのイメージをゲートに見立て、それらが関わりを持つ地域の聞きなれない言語や音楽を聴くことで、世界のあり方について考えたい。

審査員コメント

  • 世界中を行き交う港のコンテナを実際に撮影し、その扉から拾える情報を元に事業者の住所を割り当て、その地域のラジオ番組がリアルタイムで流れる。1枚のコンテナの扉から、ラジオの音声が聞こえた瞬間に、背後に広がる世界、そこで生きる人々、地元の暮らしがバーっと広がっていく、見る人の想像を掻き立てる力が圧倒的。アンドレアス・グルスキーの写真がごとく、グローバリゼーションによってカラリと無機質に積み上がった事象を俯瞰しつつ、デジタル上で「今」を掴むことによって、体温のある営みを引き寄せることに成功している。扉の画像からすべてが始まっていく潔い構成と、リサーチ、アイデアを実装する技術力、いずれも十分な力量があると感じ、高く評価した。

    加藤 育子 スパイラル キュレーター