「価値、意味の無くなったもの=ゴミ」に「新しい価値、意味」を与える。
本来ゴミとなってしまう空箱を使用し、そこに「世界観」を生み出す。
その手法は複雑で、一見無駄に見えるようなプロセスも世界観を形作るための重要な時間であり、私たちの身の回りの豊かな環境を知る一歩につながる。
この作品は、絵画的なのに写実的な不思議な写真が大きな特徴である。
物語の一部分を切り取ったようなその世界観はカラフルでポップで、そしてどこかコミカルである。
新しい写真作品のジャンルの構築を目的とし、さらに私たちの身の回りの豊かな環境を見つめ直す小さなきっかけとなりたい。
ミニチュア撮影とスタジオ撮影、背景紙と小道具を組み合わせたこの作品には、食品パッケージなどの小さなスケールと人間の身体的なスケール、平面的なものと立体的なものが混在しています。一見するとこの作品は、日用品から発想したフィクションのなかに作者自身が入り込んだかのように編集されたフォトコラージュのように見えますが、よく見てみると、背景紙の継ぎ目や影の落ち方といった細部から、それがスタジオセッティングによって作り出されたものであることがわかります。複数のスケールを跨いで、フィクションと現実、イメージと物質を行き来するこの作品は、写真がもつ、世界を作り出す力を活き活きと描き出しているように思えます。