Informalized Void

Informalized Void

メディアインスタレーション|2023

竹澤 風太 椋木 新, 平本 大輔, 塩澄 祥大, 成瀬 陽太

情報科学芸術大学院大学

アート&ニューメディア部門 最優秀賞

ART & NEW MEDIA DIVISION GRAND PRIZE

作者Webサイト https://twitter.com/futakezawa

これは、見えない物体を追いかけるように指差しを行うロボット群からなる作品です。物理的には何も存在していない空間に対して、ロボットたちが「あたかもそこに何かがあるように」指差しを続けています。肉眼ではその対象を見ることはできませんが、指差しを続けるロボットたちの動きを通して「そこにいるはずの何か」の動き・重さ・意思など、多くのことを感じとることができます。 最近ではARのように、情報を画面の中にとどまらず、現実の空間の中にも出現させるような技術が多数登場しています。この作品で「指差しを続けるロボットたちの動き」から感じることができる「そこにいるはずの何か」の様子も、画面を飛び出した「情報」のあり方の一つだと言えるでしょう。これから先、私たちと「情報」の関わり方はどのように変容していくのでしょうか?

審査員コメント

  • いくつかのロボットが空間上の点を指し示すことによって、仮想的な点の動きが可視化されるという作品。ロボット技術も、モーションデザインも洗練されていますが、単純で、決して目新しい技術が使われていたり斬新なイメージが作り出されているわけではありません。しかしだからこそ、何かを表象すること、ここを見よと示すこと、不可視のものを存在しているかのようにみせることという、メディアの基本的かつ最も力強い権能がありありと表現されているように感じます。優美な動きで淡々と虚空を示し続けるロボットの振る舞いは、美しいと同時に、というよりも美しいからこそ、それによって何もない点を見せられ続けている事実の恐怖が強く印象付けられます。

    永田 康祐 アーティスト