SOUND PENCIL

SOUND PENCIL

ガジェット・プロダクト|2023

morii yuji

多摩美術大学

PARTNER AWARD

作品Webサイトhttps://yuji-morii.com/SOUND-PENCIL

作者Webサイト https://yuji-morii.com/

本作は、大人も子供と同じように視覚に囚われずに自由に描くことを目的とした表現玩具である。線や円など描く動作に応じて「音」が鳴り、色材のカートリッジを付け替えて描くと「音色」を変えることができる。 幼い子供は見た形を描くことはできないが、形を感覚で読み取り、身体を伸ばして自由に描いて表現することができる。一方、大人は見た形を描くことはできるが、見た形や常識に囚われてしまい“描いて表現する”ことが困難になってしまった。身体の成長と共に表現性が失われていく事は悲しきことである。 そこで私は視覚の他に感性に影響する「聴覚」を用いて子供と同じように自由に描ける道具の確立を試みた。 本作を手に取って描こうとすると音がこぼれ、もっと音を鳴らそうと、つい身体を伸ばして紙一杯に線を描いてしまう。そして色を付け替えると、思いもしなかった音が鳴って驚いて笑顔になり、楽しくていつまでも描いてしまうだろう。 本作を通じて子供の頃の創造性や描く楽しさを取り戻して頂ければ幸いである。

審査員コメント

  • 描画する行為がそのものが、音を生み出す演奏となる点が評価された。サウンドとビジュアルを別々のものとして考えず、それらが相互に作用しながら、連続した体験が生み出されている。サウンドが色や筆圧、加速度によって多様に変化するのであれば、新たな抽象絵画、即興表現、共感覚への気づきなど、様々なものをあらわにするだろう。こうしたクリエイティブ性は人間の新たな創造性を解放する可能性に秘めている。また、ペン同士がコミュニケーションするような集団でのセッションができれば、情操教育や役立ち、美術教育に新たな統合をもたらすかもしれない。

    鹿野 護 東北芸術工科大学映像学科教授/ワウ株式会社 顧問