SPATIALIZER

SPATIALIZER

ガジェット・プロダクト|2023

長谷川 泰斗

筑波大学

ゲーム&インタラクション部門 優秀賞

GAME & INTERACTION DIVISION EXCELLENCE AWARD

空間を奏でる電子楽器。 SPATIALIZERは、置かれた空間の凹凸や人の配置を音に変換する。通常の楽器のように音色や音源を固有に持たず、この楽器が置かれた空間から音を生み出す。置かれた場所や、時間に応じて音色が変化していくため、全く同じ音は存在せず、その場、その瞬間に生まれる音との一期一会を楽しむ楽器である。 普段歩き慣れた散歩道や、人が自由に動き回るクラブ、静寂とした竹林など、それぞれの環境に持っていくことで、その空間ならではの音が生まれていく。その場の状況に合わせて演奏を行う、即興演奏という手法がある。この楽器は音そのものにも即興性を生み出し、より空間との親和性を高め、空間と人と音が互いに干渉し合うことで、自らが空間に融合したような空間・音楽体験を目指した。

審査員コメント

  • 「現代における新しい楽器を開発した!」と思いました。時代の中で、これまでも様々な楽器が作ってこられたと思いますが、現実世界とデジタルをクロスオーバーさせた楽器はそうそう出てこなかったのかなと感じています。この作品の可能性は、ただ音色を奏でるだけになく、環境を変えることによって音色が変わることを考えれば、新しいライブ演出や、演劇、ダンスなど、さまざまなことに転用できるなと思っています。コンセプトモデルとして捉えられないように、ぜひ商品として“流通”させ、ユーザーが生まれるように “一般化”して欲しいなと思います。そこまで達成すれば必ずイノベーションだと呼ばれるようになると信じています。

    柳 太漢 デザインディレクター/アクセンチュア ソング