孤
短編アニメーション|2023
ajisa
金沢美術工芸大学

VIDEO & ANIMATION DIVISION GRAND PRIZE
なんでも一人で抱え込んでしまう女学生。悩みを抱えたまま一人部屋で踠いている。
行くところまで行ってしまった彼女に必要だったのは数回、鳴り響くベルの音だった。
テーマを決めるきっかけは鬱が原因で親しい友人が自殺をしてしまったこと。
異変に気付いていながらなぜ彼女に声をかけられなかったのだろうという自責の念がこの作品を制作するに至った。
もしあの時ドアをノックしていたら、声をかけていたのなら何か変わっていたのだろうか。
彼女に「明日」があってほしかった。
前作『下校』で既に注目を集めて評価されていた作者の卒業制作が、一体どんな作品か楽しみにしていた。亡くなった親しい友人のできごとを元にした今回の作品では、アニメ的なキャラクターデザインにロトスコープやCGなどを用いて独自性のある映像表現を更に進化させつつ、シリアスなコンセプトや物語との組み合わせにより相乗効果を生み出していると思いました。特に黒い液体による表現のシーンは、心理状態のビジュアル表現として圧倒されました。作者自身の経験や友人への弔いの気持ち、複雑な想いが作品に込められた素晴らしい作品だと思います。