太陽が水を汲んでいる
短編アニメーション|2023
加賀美 帆
東京造形大学

VIDEO & ANIMATION DIVISION ENCOURAGEMENT AWARD
本作は、バクになった姉を通じて主人公が自身の傷に向き合うまでの物語である。傷は、姉が人間でなくなったこと、不登校であること、自身が受けた性被害。そのどれもが外的な要因であるが、心の整理は自分自身でしなくてはいけない。その心象を、水や夢などのモチーフを通してすこし不思議な夏の一日としてアニメーションで描いた。
最初のほのぼのとした絵柄の導入の印象から途中で一変し、強く心を揺さぶられる作品で衝撃的でした。過去の辛い被害の体験に正面から向き合う事はとても難しく大変な事であると思います、それを作品にするという事は、自分の記憶や様々な感情などの心の中を外に向けて剥き出しにする作業といえるでしょう。作者が様々な葛藤の上で苦しみながら生み出された作品だと想像しました。
透明感のある淡く美しい色彩や水の表現、シンプルな細い線の繊細なイラスト、アニメーションならではの表現や演出と、映画的なカメラの構図やカット割り、そしてプライベートな体験をベースとした出来事をメタファーなどを用いた物語により、観客の心に残る力強い作品となっていると思いました。次にどのような作品を作るのか、ぜひ期待しています。