cultivate my/our garden

cultivate my/our garden

ドキュメンタリーインスタレーション|2024

石島 響 Julx Morales, Keisuke Narita, Monica Tschanz, Obiko Takehana, Roswitha Baumeister, Valeria Medellín, Yo Katami, 取材協力・制作協力 Colectiva de Mujeres Muralistas(Collective of Women Muralists), bildwechsel, etc.books, Irregular Rhythm Asylum, Loneliness Books, FrauenLesbenBuchhandlung Berlin (Women's and Lesbian's Bookshop Berlin)

ベルリン芸術大学大学院

アート&ニューメディア部門 優秀賞

ART & NEW MEDIA DIVISION EXCELLENCE AWARD

2023-24年にかけてコロンビア、日本、ドイツで行った、場を創造するフェミニスト運動に取り組む人々へのインタビューと、現在の活動の背景にある「個人的な物語」に基づいた映像3部作のドキュメンタリープロジェクト。本作は、最善説への風刺小説『カンディード』の最後の台詞 “let us cultivate our garden (僕達は自分の庭を耕さなきゃ)”を引用し、「耕す」という行為をケアや抵抗行為として用い、映像、土、種がついた紙片と紙片が植えられた植木鉢で構成されたインスタレーションとして展開される。紙片には映像作品に含まれていないインタビューから抜粋した経験談や思想が匿名で書かれており、鑑賞者は自分と共鳴する物語の紙片を持ち帰り、実際に植える事ができる。作品を通して共有された「個人的な物語」は種として広がり、いつか誰かの元で芽吹くかもしれない。

審査員コメント

  • SNSで刻々とそれぞれの個が綴られる毎日。「私」が可視化される(ように感じる)機会が増える一方、政治・経済・社会における「私たち(we/our)」はあまりにも大きなものになりすぎて、「私(I/my)」という主語の集合体とは思いづらいのが現状です。本作は、この「私」と「私たち」の間にある、深く、小さな棘の生えた溝を、インタビュー映像と土や種、植木鉢などで構成されたインスタレーションを通じて丁寧に掘り起こします。耕すことで土壌に酸素が行き渡るように、ひとりひとりの「私」に息を与え、見る人の心を共に耕していく力のある、芯の強い作品です。卒業制作と思えぬほどの力量に感服しつつ、アーティストとしてのこれからの真っ直ぐな活躍を期待します。

    加藤 育子 スパイラル キュレーター