私の渇きを猫に預ける
ライフ・パフォーマンス、コンセプチュアルアート|2024
中橋 侑里
東京大学大学院
作品Webサイトhttps://drive.google.com/file/d/1_4U25jmkeGDmTo8psrLwdn0tEsQctsz3/view?usp=sharing
作者Webサイト https://nyuri.myportfolio.com/
私は忘れがちな水分補給を、猫に任せることにした。自己管理に諦めを感じ、ほかの動物の本能に頼ってみる。20日間、猫と同じタイミングで水を飲み、その体験を日々記録した。 猫が水を飲むたびに、自分も喉の渇きを自覚する。夜中に猫が飲んだ水分量をみて、眠っている間に自分が失った水分を実感することもあった。その過程で、喉の渇きを意識する頻度が増え、次第に自律的に身体を気遣う感覚が芽生えた。また、猫と「渇き」を共有する感覚があり、私の身体を媒介にして、猫の状態を感じ取っているようにも思えた。 自己管理を手放し、共に暮らす存在に委ねる。身体感覚を振り回されながらも、かえって自然と身体と向き合う習慣が形成されていくのではないか。
中橋さんの作品は、テクノロジーを用いた丁寧な分析を行いながらも、一種のパフォーマンスや実験的な側面を持ち合わせており、その点が非常におもしろいと感じます。分析を自身のフィジカルな側面へと落とし込んでいく過程には、多種をより深く理解しようとする姿勢がうかがえると同時に、人間中心主義を軽やかに批判しているようにも思えます。パフォーマンスアートというと、しばしば自身の体を異常状態に置いたり、限界に挑むような表現も見られますが、中橋さんの作品はそれとは異なり、融和的で豊かな表現となっている点がとてもユニークで素晴らしいと思います。この体験を通じて感じる「乾き」を活かしながら、自らの習慣改善を試みる――その姿は、テクノロジーと異なる種、そして身体の心地よさに向き合う現代的な視点を持つ作品として成立していると感じました。今後の作品も楽しみにしています。