Imagraph
その他|2024
村本 剛毅
東京大学
作品Webサイトhttps://vimeo.com/947836145
作者Webサイト https://www.goki-muramoto.com/
Imagraphは、閉じた眼に瞼越しに映像を投影する光学装置で、「像を投影する/感覚を閉ざすという二つの態度を調停するメディア」として制作された。参加者は目を瞑り、映像の投影を待つ。あらかじめ用意されたビデオは、鑑賞者の肉に固有の血色を補償し青ざめられたのち、一方的に再生される。意図された色彩とその配置、運動が届けられ、蓋は同時にまさにそれが拒もうとするものの媒体となる。閉眼のもと、ビデオの光は無意識による視覚イメージとテクスチャーを共有し融解する。横たわった鑑賞者の瞼が天井から吊るされたディスプレイのピクセルひとつひとつと光ファイバーによって繋がれるバージョンや、正面を向く鑑賞者の瞼にレーザープロジェクターで直接ビデオを投影するバージョンなど、複数のバージョンが制作されている。《イメージ》の一義性、あるいはそれについて見るもの/見せるものとして我々が持つ自由は何か。
閉じた瞼をスクリーンにするという、SF映画でしかありえないようなアイデアを実装した点で、驚きの作品である。ディスプレイの個々のピクセルが光ファイバーで瞼へと配列されるという体験は、鑑賞者の意識と無意識の狭間を縫うようにイメージの生成を促しすが、秀逸なのは映像の一部に、この装置を使って描いたアニメーションを用いているところである。単なる映像体験装置ではなく、イメージを作り出す生産装置の可能性を秘めている点である。イメージの起源研究には、内部光学(エンドオプティクス)という、神経系が生産する光の体験があるが、本作品はその体験をアートとして実現した、映像史的にも特筆すべき作品として記憶されるであろう。