Perspective in motion and space
メディアインスタレーション|2024
坂本 倫久
武蔵野美術大学

ART & NEW MEDIA DIVISION EXCELLENCE AWARD
これは、ミニマムなアニメーションとそれらの同期操作による新たな知覚体験の模索である。リアルな体験の価値や空間コンピューティングの存在感が高まっている今日、2次元スクリーン上の情報を3次元の空間へ拡張させることの可能性を考えたい。私たちがリアリティを知覚すること自体を問い直し、実体らしさを感じ取る視覚的な要素についての検証を行った。
「私たちは知覚された要素同士を相対的に眼で捉えている」「経験上推測される辻褄の合った関係性を脳内で構築する」という法則に基づき、複数台のディスプレイを同期させたインスタレーションを制作。オンスクリーンにおける、動きの要素を空間へと展開させた表現の基礎研究として展示を行った。
空間に配置された16台の大型ディスプレイに、同期した光の線や円などの幾何図形を動かして表示することで、空間に仮想の物体や流れを感じてしまう作品。「バーチャル」とはこういうことかとあらためて認識できる。本作品の特筆すべき点はその「同期」の精密さであろう。本人曰く全ディスプレイをミリ秒単位で合わせているとのこと。みな、頭の中では考えたことがあるが、それを眼の前で見せられるとこれほどすごいものなのかと感じる。作品全体の仕組みはそれほど複雑なものではないが、言うは易く行うは難しという言葉がそのまま当てはまり、これほど大掛かりな装置を一人で企画して実践した行動力とその精密さを含めた完成度は驚きに値する。