私たちは同じ夢を見ている。
メディアパフォーマンス|2024
永田 風薫
東京芸術大学
作者Webサイト http://fukanagata.net/
「私たちは同じ夢を見ている」は鑑賞者のスマートフォンを利用したサウンドインスタレーション作品です。会場には改造された電気オルガン、スピーカー、QRコードが置かれています。スピーカーとオルガンからは通奏低音を基調とした伴奏が演奏されています。鑑賞者がスマートフォンでQRコードを読み取ると、Jアラートの警報音が主題として引用された歌が流れ始め、同じページにリンクされたQRコードが表示されます。そうして歌が鑑賞者たちに伝播していくことで、歌は会場内で合唱に変化していきます。鑑賞者たちがスマートフォンを通して合唱に参加していくことで、次第に会場内にはテンポラリーな共同体が生まれていきます。それは、私たちが国家と呼ぶものの姿と重なっていきます。
とつぜんスマートフォンから鳴り響く警報は、実用的な目的とは別に、日常的な「いまそこにある危機」を意識させる。この作品では鑑賞者がスマートフォンを利用し、QRコードを読み込むことで、アラート音が引用されたサウンドが流れる。その音が複数の鑑賞者のあいだに伝わることでコーラスとなってゆく様は、本来パーソナルメディアであったはずのスマートフォンが、実はパブリックメディアであることを鋭く示している。制作の背景には台風で新幹線内にとじ込められた際、車内に響いた警報があると言うが、そこに「合唱」の可能性を感じ取った想像力が何より素晴らしい。人間が一緒にいることの価値を静かに訴える、いまそこにある「合唱」に拍手したい。