Animated Glossary of Ballet
実験映像|2024
佐藤 優月
法政大学大学院
作品Webサイトhttps://youtu.be/Y6oKn2vp7oc
本作品は、バレエ学習者の身体動作やバレエ用語への理解を深めるために制作された。日本には統一されたバレエ指導法が確立されておらず、またバレエ用語がフランス語に由来しているため、学習者が動作を正確に習得することが難しい状況にある。指導者もこの課題を認識しているものの、レッスン時間が限られており、十分なサポートができていないのが現状である。また、近年では中学生や大人になってからバレエを始める人が増えている。幼少期からバレエを始める人は、プレクラスなどの初級レベルで丁寧に学び、自然に用語に慣れていくが、後から始める人たちはレベル分けが不明確なことが多く、動作を真似するだけで精一杯となり、動作の本質を学びきれないことがある。特に社会人は、レッスンに通う頻度が安定しないため、レッスンのみでの習得が難しい。さらに、幼い子どもに対しても、言葉だけでは伝えきれないニュアンスがある。
そこで、バレエ用語を簡単でシンプルなアニメーションにし、身体動作を重ね合わせた映像を制作した。
アニメーション化されたバレエの動きは、アニメーションが拓く可能性を鮮やかに提示するようだ。
カナダ国立映画制作庁初代アニメーション部門長官のノーマン・マクラレンは、「アニメーションはダンス」だと言ったが、まさにモチーフと主題が合致し、使うべくして用いられるアニメーションは、適切でシンプルな図形によって言語を動きのイメージとして提示し、ニュアンスや緩急を含めたうえで、特定の用語に迫りつつも言語そのものを解体していくように感じた。
言語それ自体が文化的観念や背景を持つために、国内においてフランス語に由来するバレエ用語では、学習時の困難さが問題提起されるが、本作には、バレエの身体表現の優美さと、その動きの持つ特異性が図形や緩急としてイメージされる。バレエ学習への愛が下支えする、理解のためのやさしい補助線を引くようなアニメーションだと感じた。それでいて、アニメーション技法の根源的な地平に立っている。