ジンジャー・ボーイ
ヒューマンドラマ|2024
田中 未来
ENBUゼミナール
時代問わず、どんな人がどんな時期に見ても共感してもらえるような普遍的な作品にしたいと思い、「友情の終わり」というテーマを設けた。
学生時代に仲が良かった友人も、大人になり立場や環境が変わることでどこかギクシャクしたり、昔のように戻ることはできないと感じたりするのは多々あることだろう。
しかし大人になってからの「友情の終わり」は、突然何かが起こり訪れるのではなく、時間の流れとともに精彩を欠いていくものではないか。
そういった、じわじわと人間関係が終わっていく様子を描きたいと思い制作に至ったのが、本作である。
また、タイトルの『ジンジャーボーイ』は、「未熟な少年」という意味で、大人になっても中身は成熟していない青年達という意図で付けている。
再会した友人との関係の行く末がどこに辿り着くのか最後まで惹きつけられてしまう不思議な魅力を持った作品。
提示された不穏の大きさにエンタメ的な加速度を期待してしまうと肩透かしを食らってしまうが、なんら解決を持たないそうした心の闇から遠ざかることで終焉に至るしかないという息苦しさにリアルを感じてまた深く苦しくなる。
闇多きその画作りも魅力的で、それ以上入りたくないのに彼らの世界に引きずり込まれる。
比較的狭い画角で狭い世界を切り取ることで彼らのそばから離れられないことでもまた、囚われている。
なのに結末では、扉の向こうに去る主人公に対して、視聴者は目の前の彼と共に取り残されるのだ。