私は、私と、私が、私を、

私は、私と、私が、私を、

短編アニメーション|2024

伊藤 里菜

東京造形大学

映像&アニメーション部門 最優秀賞

VIDEO & ANIMATION DIVISION GRAND PRIZE

作品Webサイトhttps://youtu.be/m0ZuIqW0m_I

これは「自己が認識する自分と他者が自分に抱くイメージには差が存在する」ということをテーマに制作したアニメーション作品である。内容は作者自身の整形体験を元にしており、整形を日常的に繰り返す主人公の「私」を描いたアニメーションと、複数のナレーションで構成されている。ナレーションのうち、一つは作者自身が綴ったもの、残りは別の第三者が「私」に成りきって考えたものであり、作者本人と他者という複数の視点から「私」の姿を語っている。 私は整形を繰り返す人だった。そしてその行為に対して他者からさまざまな言葉を投げかけられた。「美醜に強いこだわりがある」「自分に自信がない」「過去に大きなトラウマを抱えている」「家庭環境が影響している」。だが、私はそのどれにも当てはまらなかった。 私たちは言葉を使って他者をカテゴライズし、無意識のうちに言葉が持つイメージを通して他者を認識してしまう。それは日常のあらゆる場面で行われていることであり、この作品の中でも例外ではない。

審査員コメント

  • 「気味のわるい」、いびつで得体の知れない「わたし」の身体は、今、ここにあるにもかかわらず「他者化」されている。
    本作が「整形」として線を入れ、皮を剥ぎ、メスを入れるのは、日常的に流布する社会通念の呪縛であり、ルッキズムが身体を抑圧する社会構造のようである。「わたし」は、本質的な自分を取り出すことはせず、「整形」への価値判断を下さない。それでいて、今は、ただうれしいのだ、という。
    自身の身体に魅惑され、あるがままを受容し、時に自ら制御不可能になっていくこともまた、女性が自らを体内化していく手続きのようにも思わせる。作中で押し潰され絡まり続ける線は、今を生きている私(たち)にもつながっている。本作は、そっとその線を解きほぐしていくようだ。

    矢野 ほなみ アニメーション作家