なんなんのかお?
インタラクティブコンテンツ|2025
眞鍋 咲紀
多摩美術大学
「言葉じゃなくても伝わることば」がある。本作は、その感覚を体験化する試みである。私たちが日常的に使う、意味を持つ普遍的な言葉ではなく、もっと感覚的で曖昧な“ことば”で、人はつながることができるのではないか。その問いから制作を始めた。11種類の表情がランダムに現れ、体験者はそこから連想した二音を選ぶ。選ばれた音が繰り返されることで、感覚的な新しいオノマトペが生まれる。表情を媒介としたのは、人が日常的に表情から多くの“ことば”を受け取っていると考えたためだ。画面の操作に説明を必要とせず、誰もが感覚的に楽しめる体験を目指した。
ただ笑っているだけじゃない。
怒っているだけでも、泣いているだけでもない。
言葉にできないことばを、私たちは確かに受け取っている。
選ぶのは、たった2つのひらがな。だけど、広がる音は無限大。
あなたの感じた「こんな顔」は、きっとみんなに伝わるはず。
言語ではなく、感覚でモノゴトに向き合うことも大切だと気付かされる作品。最近読んだ本で、“世の中は、言語化社会である。世の中の大半が言葉で説明されており、言葉を持つものがマジョリティである”というような分析が書かれていました。一方で、“ビジュアルでしか表現できない領域があり、ビジュアルで伝える方が優れている人や場面も多くある”と。AIの台頭も含め、まさにロジックや言葉を持つモノがもてはやされるような時代に、本作品は、感覚でモノゴトを捉える・やりとりすることの重要さを、直感的に楽しめる設計になっていました。また、記号化された顔のグラフィックの完成度は高く、アートワークとしても楽しめる良い体験だなと思いました。