フォルカスの倫理的な死
短編アニメーション|2025
林 里音 Hinako Fujimori, Makoto Tokuyama, Kim Nakyung, Junki Katayama, Ryota Koyama, Aiko Sonoda
京都精華大学
VIDEO & ANIMATION DIVISION EXCELLENCE AWARD
作者Webサイト https://x.com/SamuraiBot3D
現代のテクノロジーは、指数関数的な速度で進化を続けている。しかし、それを扱う私たちの脳は、一万年以上前から大きく進化していない。
1万年前から変化しているのは、私たちの脳そのものではなく、私たちの価値観や倫理観なのではないか。少なくとも私はそう思う。
昨日まで当たり前だったことが、いつかは間違っていたと言われるようになるかもしれない。
コロンブスの “発見” をきっかけに瞬く間に広まったタバコが、現代では急速に姿を消しつつあるように。
現代の私たちは確固とした拠り所がなく迷いの中で生きている。
そのような時代だからこそ、私には改めて「生命とは何か」を問い直したいという欲求がありこの作品を作るに至った。
見せ方、カットの選択、照明設計のいずれもが、不条理さに呼応するように息づいている。フォルカスの「倫理的な死」とも言うべき状況は、不条理を帯びながら、ときに不気味な造形として画面に立ち現れる。なぜ捕らえられているのは女性だけなのか。その問いは明確な説明を与えられることなく、観る者の思考へ静かに投げ返される。沈黙そのものに意味を宿らせる構成が、作品に奥行きと余韻をもたらしている。