The heart’s blance
短編アニメーション|2025
黒木 千広
東京造形大学
この作品は「理想の自分」と「現実の自分」どちらも受け入れて、愛していいというテーマをもって制作したものである。作品に登場するキャラクターはすべて少女自身で、作者の私でもある。私は、他人からの評価や沢山ある正しい基準に苦しめられ気づかぬうちに「私」を傷つけており、その経験をこの作品の主人公である少女に重ね、理想をピンクのテディベアに、現実を黒いとげのバケモノに擬人化し、登場させた。
少女の持つ優しさとその中にある強烈な嫌悪。「自分」の不安定さを包み込めるのは自分自身で表現した作品である。
作品を通して美しくスタイライズされたビジュアルが目を引く。デフォルメの効いたデザインは曲線的な柔らかさを核に、直線的な鋭利さも同時に表現し、彼らがまとった色彩と共にその相反するキャラクターを描き出す。そしてまた、彼らが佇む空間をダイナミックに切り取ったレイアウトは、それぞれのカットにおいて一枚の絵としての魅力を放つ。
これらが紡ぐ物語は、キャラクターたちの対立するアクションを軸にしながら、交わり受け入れていく心理描写を、フォルムの変化やその動き、キャラクターの豊かな表情で表現し、アニメーションであることの魅力が詰まっている。