私を見つけて
短編アニメーション|2025
まるあかり
東京藝術大学大学院映像研究科
作品Webサイトhttps://www.instagram.com/ara_itao/
作者Webサイト https://x.com/ara_itao
三人の言葉が交差する。
幼い頃の「私」、母にしてほしかったこと、探している居場所、消せない傷。
本作は、社会的・精神的に困難を抱える20代女性たちとの聞き取りをもとに構成されたアニメーションである。聞き取りは、対話や散歩、ノートの交換といった日常の延長線上で交わされた。語られた言葉の奥には、すぐにはかたちにならなかった感情や、長く続いてきた沈黙があった。
「私を見つけて」というタイトルは、実際に語られたことばに由来する。それは願いというより、自分がすでに見失われているという感覚に近い響きを持っていた。ただ、そのことばの奥に、かすかに誰かを求める気配を感じた。
アニメーションに宿る揺らぎや不完全性の美学を尊重し、彼女たちの痕跡を描こうとした。二名の音声と一名の手記による三名の語りは、それぞれの記憶でありながら、個人だけのものにとどまらない、匿名性を帯びた響きを持っている。この作品がその声たちにもそっと触れうるものであることを願う。
揺れたままの彼女たちを、見失わずにいられる距離で。私はあなたの声を伝える。
穏やかで優しい声が静かに紡いでいくのは、どこか歪みを滲ませる愛情のかたち。
そこに激しい情動はなどなく、諦観と共にある許容の想いが、抑制のきいたモノトーンの映像の中で驚くほど柔らかく包まれて語られていく。
その柔らかなタッチと愛らしい造形で描かれたアニメーションは、狭く切り取られたイメージと動きの連続で作品世界に引き込みつつ、徐々に不穏を増しながら破滅に向かう可能性も見せるが、決して突き放すことなく抱きとめ繋ぎとめ続けている。
結ばれ、繋がれ、囚われ、不快感と安心感が同居するそれらを求め、期待してしまう不器用にも美しい想いに共感する。