Is there そこにいる
メディアインスタレーション|2025
芹澤 碧
情報科学芸術大学院大学
ART & NEW MEDIA DIVISION EXCELLENCE AWARD
本作品は水滴に動きを作り、日常に見る水の形とは異なる水らしさを引き出すことによって、私たちの目がとらえる「物質らしさ」「リアリティ」とは何かを問いかけるものである。水そのものの「らしさ」と、形や動きから他のイメージを想起させる「らしさ」が混ざりあうことで、私たちが日常的に知る水の姿と非日常的な水の姿の両方を作り出す。水という日常的な物質だからこそ、私たちはその振る舞いを日々の経験の中で知っている。どこか生物のようにもアニメーションのようにも見える水の姿は、私たちの知る水とのずれを生み出す。
構造の説明を何度伺っても、どうして水がこのように動き、かたちを結ぶのか。驚いては理解し、理解してはまた驚く。その往復を幾度も繰り返してしまう作品でした。映像としての見せ方も整理されていて、作品の魅力が素直に伝わってきました。けれどなお、「これは実物を観たほうがいい」と言わずにはいられない。思わず見入ってしまう、強い引力のある作品でした。私たちにとってこれほど身近な物質である水を、ここまで自在に振る舞わせて見せる。その手つきには、余分を削ぎ落として本質だけを立ち上げる感覚が宿っているとおもいます。そこにあるのは確かに水なのに、まるで水ではないもののように感じられる瞬間がありました。これからもどんな作品を手がけていくのか楽しみです。