もう一度歩く

もう一度歩く

映像インスタレーション|2025

盛尾 悠介

多摩美術大学

過去の歩行の追体験を試みる。昼に歩きながら撮影した映像を、夜に同じ場所へプロジェクターで投影し、風景に重ね合わせながら歩く。これにより、道の上には過去と現在の二つの光景が重なる。しかし、映像と風景は完全に一致することはなく、その関係は揺れ続ける。展示では、道に投影した映像を撮影した記録映像を、パフォーマーの視点から、地面に向けてプロジェクターで投影している。またディスプレイには、その記録撮影の様子を撮影した映像を再生している。それらによってインスタレーションは構成される。

審査員コメント

  • 昼間に歩いた道を、夜に同じ道に投影しながら歩く。周りから見ると若干異様な風景だが、実は表現されているものから閲覧者が感じとられるものは多様でおもしろい。使っている道具はカメラとプロジェクタという一般的なもの、しくみや発想はもしかしたらこれまでにもだれかが思いついていたかもしれない。でも、目の前でそれが実現されていて、それを見せられると「なるほど、その手があったか」と思わされる。目の前に広がる夜の風景と映し出される昼間との「差」。ただ、明るいと暗いの違いだけではなく、そこには人間や自然のいろいろな業が見え隠れし、そこから閲覧者がいろいろな「背景」を想像してしまう。この作品、昼と夜だけじゃなく、夏と冬とか、平日と休日とかいろいろなパターンでも見てみたいなとも思ってしまいました。

    古堅 真彦 武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科教授