現代に蘇る手回しオルガン
メディアインスタレーション|2025
名富 之翔
日本航空高等学校
ART & NEW MEDIA DIVISION ENCOURAGEMENT AWARD
作者Webサイト https://lit.link/3dcgsuma
デジタル機器で簡単に音楽が作れる現代に手回しオルガンを3Dプリンターで復活させました。昔の自動演奏装置は過去の産物のように思えますが、当時は最先端の技術で現在のMIDIファイルのシステムも、紙のミュージックロールが変わった姿で現在も使われています。手回しオルガンは気温や湿度などで調律が変わり笛の歌口がわずかに歪むだけで綺麗に音が鳴らなくなる点から僕には精密機械に思えます。
約200年前に全盛期だった手回しオルガンは100年ほど前から様々な別の技術に移行していき需要がなくなってしまいました。技術が進化することは良い事ですが最先端以外の過去の技術は需要がなくなり使われなくなってしまいます。今回の3Dプリンターで作っている作品は全盛期時代のオルガンと同じ仕組みで音楽を鳴らすことができます。現代にも過去の技術を生かし続けるために手回しオルガンを広めたいです。
パリをはじめヨーロッパの観光地でも、ときどき見かける手回しオルガン。本作品は本体を3Dプリンターで自作するだけでなく、GarageBandで打ち込んだ楽譜を長さ4メートルの紙に手作業でパンチ穴を開けるという、徹底したDIYが特徴である。パイプに送られる風は足踏みポンプによりオルガン本体に接続し、空気圧を一定にする工夫を加えて、電気をいっさい使わずに演奏できる仕組みになっているところなどは、本場の興行用手回しオルガンの一歩先を行くのではないか。演奏される「トルコ行進曲」の精度にも驚かされるとともに、メディアとしてのオルガンの面白さと作ることの喜びを味わえる秀逸な作品である。