Sphere(s)

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キネティックサウンドインスタレーション|2025

榊原 礼彩

情報科学芸術大学院大学

PARTNER AWARD

これは白い球がついた装置です。この装置は何度か同じ動きを繰り返します。 視覚だけを頼りにすれば、それは単調で無機質な反復運動にすぎません。しかし、その動きに付与される「音」だけが変化し続けることで、その様相は大きく変化します。異なるさまざまな音が加わることで、球体の動きは全く異なる質感や印象を帯び始めます。時に重く、時に軽やかに見えることもあれば、白い球が他のものにさえ見え、白い球はあらゆるものへと変容していきます。同じ動きの反復と、変化する音。 本作品は、音によって視覚的現実がいかに揺らぎ、豊かに再構築されうるかを提示し、私たちが信じる現実の確かさを問いかけます。

審査員コメント

  • ひとつの動きから、ふたつへ、みっつへ。そしていつの間にか五つまで連携していく。その増殖のさせ方が気持ちよく、音のセレクトも勘の良さを感じました。動きと音を同期させて別のイメージを立ち上げる作品自体は、ある意味では比較的よく見かける形式でもあるので、ともすれば一瞬で興味を失われそうになる。しかしこの作品は展開でこちらの予想を少しずつ越えてくる。そのテンポの組み方がうまくて、見ている側の想像が追いつくより少し先に、次の景色が開いていく感じがありました。
    何をどこまで入れて、どの順番で、どんな呼吸で見せるのか。その取捨選択とテンポ設計のセンスが、作品を「成立」させていると思います。こういう編集の勘って、派手さはなくても、完成度を決めるうえで実はとても大事な部分だと私は感じています。この引き込む力を携えて、これからどんな作品をつくっていくのか、楽しみにしています。

    滝戸 ドリタ アーティスト/ディレクター/デザイナー