はこふぃぐめんと

はこふぃぐめんと

現代アート|2025

小林 優希

多摩美術大学

PARTNER AWARD

幼い頃の遊びと言えば「工作」だった。 一人っ子の私は何か一つのことに黙々と取り組むことが多かったようで、母から不要になった空箱を与えられては工作をしていた。 多くはゴミとして捨てられてしまう空箱だが、私にとっては空想の世界を広げるきっかけであり、そして具現化させてくれるものである。 箱とは閉鎖された空間であり、開かなければそこに何があるかわからない。 もしかしたらそこには私たちの知らない世界が広がっているかもしれない。 そんな思いで箱の中の世界を想像している。 このシリーズを制作していると、幼い頃の、記憶も曖昧な頃の経験が無意識的に今の私を動かしているのだと強く感じる。 この作品を通して、一つの小さな点から想像が無限に広がっていく幼い頃の「わくわく感」を少しでも感じられたら嬉しく思う。

審査員コメント

  • 毎年のように応募を重ね、そのたびに強い印象を残してきました。継続して同じ場に挑み続けることは、簡単なようでいて難しい。そこには、自分の力や可能性を信じて歩みを止めない強さがあるのだと思います。そして今回の到達点は、これまでミニチュアの世界を収めた写真を中心に据えていた表現が、ICCの展示では体験型へと発展し、鑑賞者の身体を巻き込むかたちで立ち上がっていたことでした。表現を更新し続ける推進力と、試行錯誤を突き詰めてきた時間は、きっとこの先の人生のどこかで、折れそうなときの支えとして味方になってくれるはずです。また、企業の方々と協力関係を築き、必要な許諾を丁寧に取りながら制作を進めている点にも、誠実な姿勢が表れていました。毎年なにかに挑戦し、手触りを変えながら前へ進む。その歩み方には、これから先にぐっと伸びる予感があります。今後も楽しみにしています。

    滝戸 ドリタ アーティスト/ディレクター/デザイナー