ふれる -”布スピーカー”と心拍音のライヴパフォーマンス-
メディアパフォーマンス|2025
堀 桂太 Shahar Kurzberg
九州大学
作品Webサイトhttps://www.keitahori.com/works_detail_fureru2.html
作者Webサイト https://keitahori.com/about.html
《ふれるII》は、個人の心拍を他者に共有するライブパフォーマンスである。
聴診器で捉えられたパフォーマーの心臓音は、布スピーカーによってリアルタイムに再生される。布スピーカーは、心臓音の低周波信号をDCモーターに入力し、その振動によって布を揺らす独自の音響装置である。鑑賞者は布に触れ、そのはためきに耳を澄ますことで、変化する鼓動の音とリズムを身体的・視覚的に拡張して体感することができる。
鼓動は不随意運動であるため、運動量、心理状態、環境などの影響を複合的に受ける。パフォーマンスでは、緊張によって速まった鼓動を、座る・立つ・歩くという単純な動作の中でさらに落ち着かせたり、早めたりした。心臓音は、歴史的にも芸術や音楽の文脈で繰り返し題材とされてきた。本作では、布スピーカーという心臓音の再生に特化したマルチモーダルな楽器を開発した上で、身体がもたらす不確定性に着目した独自の表現を探求した。
布は、私たちが日々まとい、触れている、とても身近な物質です。けれど、それが大きくなればたちまち重量を増し、平面であるがゆえに、かたちや動きを思いどおりに制御することは決して容易ではありません。ましてやそれをモーターという機構で駆動し、微細な心音を可視化しようとするなら、相当の工夫と、繊細な設計が要るはずです。それを、いとも軽やかにやってのけてしまう。そこには、この表現に真摯に向き合い続けてきた時間と、数えきれない試行錯誤の厚みが感じられました。
そして布の動きは、音を可視化するだけではなく、血流をふと思い起こさせるような、ミクロの繊細さと、巨大な布が生む大胆さが同居しています。誰も思いつかない音の輪郭を際立たせるような体験をさらに押し広げていってほしいです。これからも楽しみにしています。